生物学

マウスのうつ症状は水素水でよくなる

Sci Rep. 2016 Mar 30;6:23742. doi: 10.1038/srep23742. Effects of hydrogen-rich water on depressive-like behavior in mice. Zhang Y うつ症状は神経系の慢性炎症で誘発されている可能性がある。慢性の予想できない軽度のストレス(chronic unpredictabl…

小胞体ストレス

小胞体の中のたんぱく質の折り畳みが異常になると折り畳みを正常化するためのシャペロンの発現が高まる。これが追いつかないとタンパク合成を一時停止して時間を稼ぐ。シャペロンの合成を促進するための転写因子はXBP1だが脊椎動物ではほかにATF6α/βがあり、…

花の色

花の色にはトランスポゾンとRISCが関係している。トランスポゾンの移動で色素遺伝子がオン・オフされるのが朝顔の不入りの花の例、miRNAの作用で色素遺伝子のmRNAが無効化されるのがペチュニアの例 枝ごとに異なる色を付けている桜はおそらく接ぎ木による一…

Hair stem cell aging

Hair follicle aging is driven by transepidermal elimination of stem cells via COL17A1 proteolysis Hiroyuki Matsumura1 Science 05 Feb 2016: Vol. 351, Issue 6273, pp. DOI: 10.1126/science.aad4395 「最近髪の毛に腰がなくて、ボリュームがなくな…

maintenance of quiescence

Foxc1 reinforces quiescence in self-renewing hair follicle stem cells Li Wang Science 05 Feb 2016: Vol. 351, Issue 6273, pp. 613-617 DOI: 10.1126/science.aad5440 「毛根の幹細胞って自分自身は年をとらないはずでしょ?」 「そのはずなんだけど、…

1MET

1MET=3.5mLO2/kg/min もし炭水化物のみをエネルギー源とするならC6H12O6+6O2=6CO2+6H2O の反応でグルコース1gあたり4キロカロリーのエネルギーになる。1/180x6 mol-->4x4.2x1000 J これが酸素1モルを使った時のエネルギー(ただし炭水化物のみを燃やした…

ATTAC mouse

Endocrinology. 2011 Aug;152(8):3074-81. doi: 10.1210/en.2011-1031. Epub 2011 Jun 21. Targeted deletion of adipocytes by apoptosis leads to adipose tissue recruitment of alternatively activated M2 macrophages. Fischer-Posovszky P APで誘導さ…

ホモ二量体化促進物質

Ink4aを発現した老化細胞を除去することでマウスを長生きさせたというNatureの論文でAP20187が出てくるが見慣れないのでどういう仕組みか見てみると(http://www.clontech.com/US/Products/Inducible_Systems/Protein-Protein_Interactions/Dimerizer_Ligand…

1000mの大山脈

過去に酸素濃度が現在の半分程度に低下した時期があり、その時代にはたった1000mの山でも越えられないくらいの障害になっていた。これが遺伝子集団を分断し、進化を促した。生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学作者: ピーター・ウォード,ジ…

生命の歴史

生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学作者: ピーター・ウォード,ジョゼフ・カーシュヴィンク,梶山あゆみ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/01/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る全球凍結やキャンフィールドの海を…

くいしんぼう

最近までバードフィーダーの消費が進まなくて骨折り損感を感じていたがヒヨドリが認識してからあっという間に平らげられるようになった。リンゴ半分が半日で跡形もない。

配線図

コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか作者: セバスチャン・スン,青木薫出版社/メーカー: 草思社発売日: 2015/11/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る脳の配線を微細にたどるって簡単にいうけどほんとにできるの?

ホスホイノシチドの脱リン酸化がエンドソームのリサイクリングに重要

ホスファチジルイノシトール3リン酸(PI(3)P)はエンドソームに多く、ホスファチジルイノシトール4リン酸(PI(4)P)やホスファチジルイノシトール4,5ビスリン酸は細胞膜に多い。エンドソームからリサイクルされた小胞が細胞膜に融合するためにはイノシトールの…

幹細胞の老化を防ぐオートファジー

Autophagy maintains stemness by preventing senescenceLaura García-Prat Nature 529, 37–42 (07 January 2016) doi:10.1038/nature16187 筋肉が再生するとき近傍のsatelite細胞が筋肉細胞に分化して融合する。satelite細胞は幹細胞としての性質をもち老化…

FGF4の変異ー>STAT3活性化ががんを起こしやすくする

Germline variant FGFR4 p.G388R exposes a membrane-proximal STAT3 binding siteVijay K Nature (2015) doi:10.1038/nature16449 FGF4の多型で388番目のグリシンがアルギニンに変化すると膜貫通部分の範囲が変化するためSTAT3結合モチーフのY390xxQ393が露…

Wolfram症候群

Silencing of the WFS1 gene in HEK cells induces pathways related to neurodegeneration and mitochondrial damage Sulev Kõks Physiological Genomics Published 1 March 2013 Vol. 45 no. 5, 182-190 DOI: 10.1152/physiolgenomics.00122.2012 インスリ…

内臓脂肪のTregをつぶすと老化によるインスリン抵抗性が出にくい?

Depletion of fat-resident Treg cells prevents age-associated insulin resistanceSagar P. Bapat Nature (2015) doi:10.1038/nature16151 インスリン抵抗性に2種類のメカニズムがあり、加齢に伴うものと肥満に伴うものがあるという。内臓脂肪の炎症が肥満…

寄生虫由来の腫瘍

Malignant Transformation of Hymenolepis nana in a Human Host Atis Muehlenbachs N Engl J Med 2015; 373:1845-1852 何を言ってんのかわからないと思うが見たままをいうぜ。コロンビア出身のHIV感染者が肺の腫瘍で受診した。この男には条虫のヒメノレピス…

細菌の電位シグナル伝達

Ion channels enable electrical communication in bacterial communities Arthur Prindle, Nature (2015) doi:10.1038/nature15709 バクテリアのカリウムチャンネルが何の役割をしているのか?についての考察。バイオフィルムを形成したバクテリア群で代謝…

病気になるべく進化した?

人体600万年史(上):科学が明かす進化・健康・疾病作者: ダニエル・E・リーバーマン,塩原通緒出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見るいまも進行を続ける人類進化から見た現代病の根源とは?

FTOと熱産生

FTO Obesity Variant Circuitry and Adipocyte Browning in Humans Melina Claussnitzer DOI: 10.1056/NEJMoa1502214 FTO遺伝子は肥満と関連している。FTO遺伝子はミトコンドリアの熱産生に関係していて、肥満と連鎖するrs1421085変異は抑制因子のARID5Bとの…

6塩基反復配列とALS

The C9orf72 repeat expansion disrupts nucleocytoplasmic transportKe Zhang, Nature (2015) doi:10.1038/nature14973 GGGGCCの6ヌクレオチドが繰り返す配列が増えていくと核と細胞質の間のたんぱく質の輸送に影響が出る。RanGAP1と6塩基繰り返し配列(HRE…

人は進化して豚になるか?

人は進化したらどこへ行くのか?より強く、より賢いものになるのか?そのように誤解している人があるかもしれないが、進化の本質は生き残りである。より環境に適応して生き残ったものが次代に優勢となる。生活する環境がますます人工的なものとなる現代では…

IGF-II

インスリン様成長因子II(IGF-II)は胎児の成長をコントロールする因子で父親から由来した遺伝子が働く。母親由来の遺伝子はインプリンティングで働かない。遺伝的にIGF-IIの変異を持つ家系が発見された。これは発端者の祖母が持っていた異常で、祖母の二人の…

miRのプロセシングの変化

糖尿病患者と糖尿病モデルマウスでは血小板のmiRNAの発現レベルが下がっている。このうちmiR223はkindlin-3というタンパク質と凝固因子のXIII-Aの発現を制御しておりmiR223をノックアウトしたマウスではこれらの発現が増える。これにより血小板の凝集がいく…

こっくりさんと脳波

Cognitive Studies 20(4):483-487 2013 こっくりさんを行うと共有概念に答えているときに二人の間に脳波の同期が起こるという。後部帯状回と楔前部にそのフォーカスがあるらしい。後部帯状回は相手の痛みを思いやるときに活動するところだそうで、相手の身に…

IRF5

Nature Medicine 21, 610–618 (2015) doi:10.1038/nm.3829 Dalmas E macrophageのIRF5を欠損すると高脂肪食で内臓脂肪が増えにくく、皮下脂肪が増える。これによりインスリン抵抗性が軽減する。IRF5の直接のターゲットはTGF-βのようである

肥満なの?

どうもうちの猫が肥満なんじゃないかというのでhttp://catman.moo.jp/obesity/の指示にしたがって第8ー9肋骨あたりの胴回りを測って膝から踵までの距離と比較して猫BMIを出してみた。胴回りが37cmで膝から踵が13cmだからもう過体重だ…。しょうがない。ダイエ…

Nur77を増やしてムキムキに

The Orphan Nuclear Receptor Nur77 Is a Determinant of Myofiber Size and Muscle Mass in Mice Peter Tontonoza, Mol. Cell. Biol. April 2015 vol. 35 no. 7 1125-1138 Nur77(Nr4a1)を筋肉に発現したトランスジェニックマウスは筋肉細胞のサイズが増え…

心筋代謝に影響するERR

Estrogen-Related Receptor α (ERRα) and ERRγ Are Essential Coordinators of Cardiac Metabolism and Function Ting Wang Mol. Cell. Biol. April 2015 vol. 35 no. 7 1281-1298 女性ホルモン受容体に似た構造のERRαとERRβをともにノックアウトすると心筋…