メタボに関係するCidecとは?

Cideaとは?cell death-inducing DNA fragmentation factor alpha-like effector A (CIDEA)。これの一塩基多型(SNP)のV114Fはメタボリックシンドロームのリスクと関係する。日本人と中国人ではF型(塩基ではT型)がリスク(Zhang L. Diabetes Res Clin Pract 2010 Nov 22 Epub ahead of print )、スウェーデンではV(塩基でG)がリスク。
CIDEタンパク質はCidea、Cideb、Cidec(FSP27)の3種類が知られている。脂肪細胞や肝細胞で脂肪滴や小胞体に存在する。Cdiea、Cideb、CIdecのノックアウトマウスはいずれも肥満しにくく、エネルギー消費が多い。Cideタンパク質はAMPキナーゼの安定性を調節して脂肪代謝(脂肪合成、脂肪滴形成)に影響する。Cideタンパク質は遺伝子転写レベルとmRNAの翻訳のレベルで調節されている Gong J., Sun Z., Li P. CIDE proteins and metabolic disorders Curr Opin Lipidol 2009; 20:121-126
FSP27はマウスの脂肪細胞が完全に分化するときに発現する遺伝子としてスクリーニングされてきた。FSP27(Cidec)タンパク質は脂肪滴によりそうタンパク質で、これがないとエネルギー消費が増えて痩せやすい体質になる。FSP27は脂肪肝の肝臓でも発現が増えるが、転写因子のPPARγのない肝臓細胞では著減する(PPARγのノックアウトマウスは胎児のときに死亡するので肝臓でのみPPARγの発現を止めたマウスの話らしい)。PPARγは糖尿病の治療薬のアクトス作用点である。肝臓でFSP27を高発現させると脂肪滴が増えてくる。Matsusue K. A physiological role for fat specific protein 27/cell death-inducing DFF45-like effector C in adipose and liver. Biol Pharm Bull 2010; 33:346-350