FGF21とインスリン抵抗性の解釈について

Jornayvaz FR. Fibroblast growth factor 21, ketogenic diets, and insulin resistance Am J Clin Nutr 2011; 94: 955
http://www.ajcn.org/content/94/3/955.full?etoc
ケトン体(グルコースが使えないときに主として脂肪を分解したものから肝臓で合成されるエネルギー源)が出やすくなる低炭水化物高脂肪の食事にすると脂肪肝が出てインスリン抵抗性になる。Fibroblast growth factor 21(FGF21)がこれを抑制するというのがDomouzoglou EMの論文だ。それはいいのだがマウスでインスリンクランプの実験をすると高脂肪食ではインスリン抵抗性になるが一般によく使われているHOMA-IRやQUICK1といった指標でみるとむしろインスリン抵抗性が改善したように見える。ヒトではやせるための食事を研究するときに必ずしもインスリンクランプを行わないのでHOMA-IRやQUICK1のみで評価している研究は解釈が要注意だ、という手紙。
Domouzouglou E and Maratos-Flier E. Fibroblast growth factor 21 is a metabolic regulator that plays a role in the adaptation to ketosis. Am J Clin Nutr. 2011; 93: 9015-9055
FGF21はケトン体を誘発する高脂肪食を食べたときや絶食のときに増えるホルモンである。FGF21は肝臓ではperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR)-αの制御を受け、脂肪細胞ではPPAR-γの制御を受けている。FGF21は脂肪細胞のグルコース取り込みを増やす。FGF21は脂肪を燃焼する必要があるときに増加するようである。FGF21のないマウスではケトン体を誘発する食事を与えるとうまく対応できない。