辻井伸行さんが頭を振るわけ

辻井さんは演奏中にかぎらずよく頭を振っている。癖なのかとも思うが、ある周期で耳の位置をずらすことでより詳細に周辺の空間を音でマッピングしようとしているのではないかとも思う。自分の声の反響を聞くことで空間の広がりや床や壁の素材、そこにいる人の人数や配置を感知しているのではないかと思う。生来目が見えない彼は視覚領域の皮質を目いっぱいつかって音の解析をしているだろう。いわば我々の音の感覚が640×640の画面だとしたら4Kの世界に移行したみたいに音の空間を感じ取っているのだろう。