サーマルプレシャリゼーション

Eテレサイエンスゼロによると断層が動くときに水を含んだ地層が摩擦で熱せられて水が膨張する。粘土質で水を逃がしにくい地層だと温まった水の圧力で断層の可動性が高まる。これをサーマルプレシャリゼーションという。1999年の台湾の地震の際に震源地となった南部では1-2mの移動だったのが北部では10mに達した。ボーリングの結果北部の断層では温度が350℃に達していたのではないかと推定された。これは鉱物中のセレンとルビジウムストロンチウムの量比を質量分析計で調べるとわかる。高温になるとストロンチウムの移動性が高まるからだ。東日本地震の際に50mの大移動を起こした断層は震源から沖にずれた位置にある。ここを目指して海底掘削を行ったところ水深6800mの海底から1000m掘り進めたところで破壊された岩石の層に当たった。その付近は粘度質でサーマルプレシャリゼーションが起きやすそうな地質だった。この掘削に際して10mのドリルパイプを800本つなげて掘ったため細心の繊細さを要した。