飲めるGLP-1

Steinert R.E., Poller B. et al. Oral administration of glucagon-like peptide 1 or peptide YY3-36 affects food intake in healthy male subjects Am J Clin Nutr 2010; 92: 810-817
糖尿病の治療薬としてすでに使用されているGLP-1は腸のL細胞から分泌され門脈系に入る。ペプチドYY(PYY)も腸から分泌され摂食抑制作用のあるホルモンだ。GLP-1はDPPⅣで急速に分解されPYYも肝臓で分解を受ける。GLP-1もPYYもペプチドなので薬として投与するには現在のところ注射が必要だ。肥満の対策として使用するには飲める薬がいい。また生理的には門脈系で最も濃度がたかく、注射した時とは全身を回る血中濃度が異なる。ペプチドを腸から分解させずに吸収させる薬剤が開発されている。sodium-N-[8-(2-hydrozybenzoyl)amino] caprylate (SNAC)はその一つだ。GLP-1またはPYYをSNACとともに飲んでもらい、食事摂取がどうかわるか調べた。12名の男性ボランティアに2㎎のGLP-1、1㎎のPYYまたはその両方をSNACとともに飲んでもらった。GLP-1、PYYともに通常の食事に比べて数倍に濃度が上昇した。GLP-1では食事のカロリー摂取が有意に低下した。PYY単独では効果がなかった。GLP-1とPYYの両方を飲むと食事の摂取が21.5%低下して食事の開始時からすでに満腹感が表れたが24時間のカロリー摂取は変わらなかった。
肥満はともかくGLP-1を飲んで効くのなら糖尿病患者は助かるな。PYYが食事摂取に効かないというのは意外だ。