クマの胆嚢にも意義がある?

Circulation Research 2010;106:1807
Miyazaki-Anzai et al.
FXRは核内受容体スーパーファミリーの一員でステロイド受容体やPPARγ受容体と同様の構造を持つ。これの刺激因子(アゴニスト)は胆汁酸の成分だ。胆汁酸というとクマの胆嚢が思い浮かぶが、こんな漢方薬みたいなものにもちゃんと科学的な根拠があったのかも知れない。肝臓の薬としても良く使われる「ウルソ」はクマのことである。FXRは肝臓でよく発現しているが、血管の平滑筋にも発現している。これが何をしているのか不明だったが、FXRの合成アゴニストのINT-747を投与すると動脈硬化モデルマウスの病変が軽くなる。慢性腎不全では血管の石灰化が速くすすむが、腎不全とまでは行かない軽微の腎障害のときから起こるので最近ではこの早期の腎障害を「慢性腎疾患(CKD)」と名づけて注意を喚起することになっている。マウスのCKDモデルにINT-747を飲ませると血管の石灰化が抑止されるという。