ミオスタチンの作用を抑えると糖代謝によいか?

Guo T, Jou W et al. Myostatin inhibition in muscle, but not adipose tissue, decreases fat mass and improves insulin sensitivity. PLoS One 2009;4(3):e4937
myostatin(Mstn)の無いマウスは劇的に筋肉が増し、脂肪が減る。その受容体のactivin受容体ⅡBを変異させシグナルを伝達しないタイプに変え、脂肪または筋肉に特異的に発現させると、筋肉に発現させた場合のみ脂肪が減り、除脂肪体重が増加し、インスリン感受性が改善した。つまりMstnノックアウトマウスの脂肪が少ないのは筋肉の作用が二次的に効いているのであった。

逆に脂肪のほうのMstnが筋肉に効いてしまう可能性がある
Allen DL, Cleary AS et al. Myostatin, activin receptor Ⅱb, and folllistatin-like-3 gene expression are altered in adipose tissue and ekeletl muscle of obese mice. Am J Physiol Endocrinol Metab 208;294(5):E918-27
肥満モデルマウスのob/obでは皮下脂肪と内臓脂肪のMstnの発現が正常マウスの50-100倍に増えている。前脛骨筋のMstn発現も2倍に増加する。正常マウスでも高脂肪食を食べさせると皮下脂肪と前脛骨筋のMstnの発現が増える。脂肪細胞の分化を促す遺伝子のSREBP-1c、C/EBPα、PPARγは脂肪細胞でのMstnのプロモーター活性を上昇させた。

Mstnの作用を抑えると糖代謝によいか?
Akpan I, Goncalves MD et al. The effects of a soluble activin type ⅡB receptor on obesity and insulin sensitivity. Int J Obes 2009;33(11):1265-73
Mstnの受容体activin受容体ⅡBの分泌タイプはシグナル伝達を阻害する。この可溶性のactivin受容体ⅡB(RAP-031)を高脂肪食を負荷したマウスに注射した。4週間後注射されたマウスは除脂肪体重が増え、握力が増加した。10週続けると脂肪量が眼だって減った。肝臓での余分なグルコース産生が減少した。筋肉のグルコース利用は普通のえさを食べているマウスではRAP-031の作用で増加したが、高脂肪食のマウスでは増えなかった。