筋肉を減らすタンパク、ミオスタチン

Springer J, Adams V et al. Myostatin, Regulator of muscle wastin in hear failure and treatment target for cardiac cachexia Circulation 2010;121:354-356
MyostatinはTGF-βファミリーの一種でgrowth differentiation factor-8(GDF-8)とも呼ばれる。筋肉の量を抑えるのが役割で、遺伝的にmyostatinのない幼児は4歳で3kgのダンベルをらくらくと持ち上げる。臨床的にやせが問題となるHIV感染、癌、慢性心不全ではmyostatinが増加して筋肉が萎縮する。心不全のためにやせに至った患者ではやせが死亡率を左右する。動物の心不全モデルでmyostatinの役割が調べられている。

Heineke J, Auger-Messier M et al. Genetic deletion of myostatin from the heart prevents skeletal muscle atrophy in heart failure. Circulation 2010;121:419-425
Nkx2.5のプロモーターを利用したCre-loxシステムで心臓に特異的にmyostatin遺伝子(Mstn)をノックアウトすると圧負荷による心肥大に伴う骨格筋の萎縮が抑制された。また心臓に特異的にMstnを過剰発現させると血中のmyostatinが3-4倍になり、骨格筋と心筋の萎縮が起こった。myostatinの抗体JA16で中和すると心不全に伴う筋萎縮が軽くなった。心臓は分泌タンパクのmyostatinによって全身の筋肉の量をコントロールしている。

マッチョになるためにはミオスタチン抑制薬を飲めばいいのか?そんなものがあればだが。