誰の子でもいい

BS3のワイルドライフによるとダチョウは1位のメスの巣に2位のメスも卵を産む。これは親鳥が巣を離れたすきにエジプトハゲワシなどに卵を襲われるリスクの軽減になる。襲われるときは外側の卵が狙われるので1位のメスは自分の産んだ卵を真ん中に寄せる。2位のメスの卵は不利になるがそれでも運が良ければ繁殖できるし、世話は1位のメスがしてくれる。繁殖にはエネルギーを要しリスクを伴うが競争を勝ち抜いたペアはそれを許容できるのだ。2位のメスの子まで引き受けるメリットは子供の数が多いと天敵に狙われたときにリスクが分散されるので自分の子が全滅する可能性が減ることのようだ。子育て中でも縄張り争いで他のダチョウのカップルと闘争になることがあるが、そうすると勝った方のカップルに負けた方の子供がついて行ってしまう。子供は自分でえさを取れるので養ってやる手間は不要で数が多い方が自分が襲われる危険が分散するというのが子供にとってもメリットのようである。一方闘争の時に不幸にして親からはぐれてしまった子供は自分でさまよう羽目になるが、生後1年くらいまでは年長者の保護を必要とする。放浪中に子のいない親世代の別のダチョウに出会った若鳥はこれにくっついていく。仮親になったダチョウのほうも若鳥を気にかけていてはぐれると探しに戻ってくる。ある意味合理的というか最近の人間にもどこか見習うべきところがあるような興味深い生態だ。