ウイルスの側の対抗措置:インフラマソームの阻害タンパク質をコードするウイルス

Gregory SM., Davis BK et al. Discovery of a viral NLR homolog that inhibits the inflammasome. Science 2011; 331:330-334
NLRグループは自然免疫のセンサーの一種でウイルスに対する抵抗性に関係する。インフラマソームと呼ばれるカスパーゼを含む複合体を形成して不活性のIL-1βやIL-18を活性化する。カポジ肉腫をつくるヘルペスウイルスの一種KSHVはインフラマソームを不活化するタンパク質をコードする遺伝子を持っている。Orf63(マウスにORF63という別の遺伝子があってTAK1に似た全く異なるもの) と呼ばれるものがそれで、ヒトのNLRP1に似ている(相同遺伝子である)。Orf63 はNLRP1、NLRP3およびNOD2と結合できる。免疫沈降実験によるとOrf63のN末端が相互作用に重要なようである。Orf63 を不活性化するとIL-1βの産生が増える。潜在しているKSHVウイルスの再活性化とウイルス粒子の産生にはNLRP1の阻害が必要である。