駆出率低下のない心不全に対する運動の効果

Kitzman DW., Brubaker PH. et al. Exercise training in older patients with heart failure and preserved ejection fraction. Circulation:Heart Failure doi:10.1161/CIRCHEARTFAILURE.110.958785
心不全かというと心エコーをとって駆出率(EF)がいいと「心不全ではありません」と言ってしまいそうになるが、実際に運動耐容能がないとすると何かが問題だ。心筋が固くなって拡張性が悪くなることが一つの原因と思われる。この駆出率が保たれた心不全のことをheart failure with preserved left ventricular ejection fraction (HFPEF)と呼ぶ(こんな略称まで当たり前のようにできているなんて知らなかったが)。HFPEFは高齢者の心不全では一般的である。駆出率の下がった心不全の患者に運動トレーニングをすると運動耐容力が改善することは知られているがHFPEFの場合にどうか?を検討した。平均年齢70歳の53名(うち女性46名)に16週間の運動トレーニングを行った。トレーニングは週3回で46名がトレーニングをやり遂げ、出席率は良好だった。最大酸素摂取量は13.8±2.5ml/kg/minから16.1±2.6ml/kg/minに増えた(p=0.0002)が、運動をしない対照群では変化なしだった。最大筋力、運動時間、6分間歩行の距離、無酸素閾値もいずれも有意に改善した。身体的な生活の質(QOL)は有意に改善した。トータルの生活の質は有意の改善に至らなかった(運動が面倒臭かった??)