TLR9の行先を決めるAP3

CD1は抗原を提示する受容体の一種だ。タンパク質の分解物を提示するMHCⅠ、MHCⅡと異なりCD1は脂質、糖脂質を提示する。小胞体で合成されたCD1はエンドゾームで脂質を受け取ってから細胞膜へ出ていく。CD1にはいくつか種類があるが、小胞系の輸送の過程でどの段階までいくかはCD1の種類によって決まっている。アダプター タンパク(AP)がCD1の細胞質側の端についてどこに行くかを調節している。
パターン認識受容体(PRP)の一種のtoll-like receptor 9 (TLR9)はウイルスのDNAを検知してインターフェロンを作らせるための受容体だが、TLR9がウイルスDNAを検知できるようになるにはウイルスDNAが特定のリソゾーム関連顆粒(エンドリソゾーム)で不要のN末端部分を切断される必要がある。これによりTLR9は分子量150kDaから80kDaになる。TLR9がこの顆粒へ輸送されるためにはAP3が関係している
Sasai M. et al. Bifurcation of Toll-like receptor 9 signaling by adaptor protein 3. Science 2010; 329:1530-1534