GIと炎症性疾患の死亡リスク

Buyken A.E., Flood V. et al. Carbohydrate nutrition and inflammatory disease mortality in older adults. Am J Clin Nutr 2010; 92: 634-643
炭水化物の過剰は酸化ストレスの増加に関連するという仮説がある。食品質問表により炭水化物の量とその吸収しやすさを示すグリセミックインデックス(GI)を調べ、炎症性疾患による死亡との関連を調べた。何が「炎症性疾患」かが問題である。広い意味では動脈硬化も慢性の炎症だし、慢性の炎症はがんのもとでもある。この研究では感染症、リウマチ、関節炎、慢性閉塞性肺疾患、肝硬変、糖尿病、アルツハイマー病などかなり広い範囲の疾患を含むこととし、がんと心血管疾患は除外した。
さて1992-1994年にオーストラリアで登録された閉経期の女性1490名と同年代の男性1245名を13年フォローして女性84名男性85名が「炎症性疾患」で死亡した。食品質問表の結果でGIが3分位で最も高かった女性は最も低かった女性に比べて炎症性疾患の死亡リスクが2.9倍だった(95%信頼限界1.52-2.51)。リスクは年齢、糖尿病、喫煙、アルコール、食物繊維摂取で補正済みの値だ。精製した砂糖と精製したデンプンの摂取が多いこと、パンとシリアルの摂取が少ないこと、ポテト以外の野菜の摂取が少ないことがそれぞれ独立にリスクを予測した。男性では果物の食物繊維または果物の摂取が炎症性疾患による死亡を低下させた。心血管疾患との相関は認められなかった。
「炎症性疾患」の定義がやや恣意的な気もするが?GIが高いと血管が傷みそうなので心血管疾患も増えそうな気がするがそうでないのが意外。