造影剤による急性腎障害リスクの評価

Brown J.R., Robb J.F. et al. Does safe dosing of iodinated contrast prevent contrast-induced acute kidnay injury? CIrculation: Cardiocvascular Interventions 2010; 3: 346-350
造影剤による急性腎障害(AKI)はカテーテル検査をする医師にとって気になる問題だ。もともと血清クレアチニが上がっていて腎障害がベースにあるとなおさらである。最大許容造影材量(MACD)は経験的に5ml×体重(kg)÷血清クレアチニン(mg/dl)と定義されている。体重60kgでクレアチニン1.5だと200mlである。MACDを超えるとAKIの頻度がどの程度増えるのかが評価された。患者の利益にとってしっかり血管を評価して広げることとAKIとどっちをとるべきか?という問いへの手がかり。造影剤の量がMACDに対して<0.5、0.5-0.75、0.75-1.0、1-1.5、1.5-2、2より大の6つのカテゴリーに分けて検討した。造影剤によるAKIは血清クレアチニンが0.3mg/dl以上または前値の50%以上増加あるいは新規の透析とした。2000年から2008年の冠動脈造影患者10065名を調べたところMACDを超えた患者は20%いた。造影剤量がMACDを超えた患者ではAKIのリスクが45%増加した(オッズ比1.45 95%信頼限界1.29-1.62)。造影剤量がMACD未満だった患者では影響がなかった。AKIのオッズ比は造影剤量がMACDの1-1.5倍、1.5-2倍、2倍より大となるにつれて1.6(1.29-1.97)、2.02(1.45-2.81)、2.94(1.93-4.48)と増加した。
それはそうなのだが、目の前に中途半端に放置されている冠動脈を見たら広げたくなるんだろうな。少々クレアチニンが上昇しても透析にならないかぎり広げたほうがいい、という感覚じゃないだろうか?