加齢マウスに運動させると心筋虚血抵抗性が改善

Circulation 2010; 122:707-716 Cheng X.W., Kuzuya M. et al. Exercise training stimulates ischemia-induced neovascularization via phosphatidylinositol 3-kinase/Akt-dependent hypoxia-induced factor-1alpha reactivation in mice of advanced age.
運動すると虚血に対する血管の反応が改善する。このメカニズムの一部は運動が低酸素により転写因子のHIF-1αが活性化を高めることによるらしい。HIF-1αの作用で血管増殖因子のVEGFと細胞外マトリックスを分解するMMP2が誘導され新たな血管が増える。年齢とともにこの効果は低下する。高齢のマウスに水泳をやらせると虚血に対する抵抗性が改善するか検討された。マウスに毎日1時間水泳させ、運動させなかったマウスと比較する。手術で心筋梗塞モデルを作り、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)の阻害薬のLY294002またはHIF-1αを安定化するデスフェロキサミンを投与したマウスと偽薬を投与したマウスを比較した。心筋血流、毛細血管密度、リン酸化Aktキナーゼ、HIF-1α、VEGF、MMP2はいずれも水泳をさせたマウスのほうが良好だった。血流中の血管内皮前駆細胞(EPC)も水泳をさせたマウスのほうが多かった。水泳の効果はLYで阻害されデスフェロキサミンで増強された。運動の効果はPI3Kの活性化→Aktキナーゼ活性化を介しているようである。
水泳は膝を痛めないのでいいが、重力がかからないので骨密度が改善しない。筋肉トレーニングと併用するともっといいかもしれない。