いれものは作ったけれど

NHKの教育放送で日曜の夜に地方の公立病院の問題の特集を放送していた。千葉の東金では県立病院で20名あまりいた医師が数年で2人になり、院長が地域の開業医や住民との連携を模索したりしてなんとか十数名の内科医を集めた。外科は回復できなかったので慢性期の疾患の管理がメインとなっていた。実際地域では高齢化がすすむため慢性期の疾患の管理が問題になっている。ところが東金に千葉大系のあらたな医療センターをつくる計画ができ、ここに教授ポストもつけて56名の医師を配置するということになった。この建設には国から80億円の補助もでるということで市長選挙では推進派の現職が当選、もとからあった県立東金病院の位置づけは微妙になってしまった。新たな医療センターが本当に56名の医師を集められるのか、医師不足で大幅な赤字に陥らないのか不安がのこる。一方青森の十和田病院の事例も報道されている。十和田もあたらしくきれいな病院をつくったが、医師があつまらず苦しいようである。

■医師、とくに現場をささえる若い医師にとっては医療の先端から取り残され、腕を磨けなくなるのがいちばん怖い。地方の病院に一度いってしまうと都落ちのように見られて、その後都市部の大病院で研修したいと思っても受け入れてもらえないのではないかと不安になるのだ。都市部と地方の病院の間で提携してローテーションを行うことにして、都市部と地方の両方での経験を何かの資格の必須のキャリアにするといいかもしれない。また、教育病院の医師が地方に講演にいったり手術のヘルプ・指導で出張するのをキャリアに必要な活動としてカウントする仕組みも必要かもしれない。