文明崩壊
グリーンランドにはかつて400年ほどノルウェーの植民地があったが、きれいさっぱり消滅してしまった。樹木が育たないため鉄がつくれず、擦り切れて小さくなるまで使い古された刃物の遺物がせつない。釘も何回も使われている。ウシのひづめのあとも残されているが、草が少ないためヨーロッパのウシにくらべて極端に小さいウシだった。グリーンランド植民地の崩壊の前夜には土着のイヌイットとの競争に敗れて地方の村から首都へ避難民が流入、少なくなる食料を奪い合い小さなウシをひづめまで食べつくして終わり、という悲惨な結末が想像されている。生活に必須の資源が不足しはじめると周辺部から不足が顕著になり、まだ比較的保たれている都市部へ集中しはじめる。それが資源の消耗をさらに加速させ崩壊の過程を早める。
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,楡井浩一
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2005/12/21
- メディア: 単行本
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