文明崩壊

グリーンランドにはかつて400年ほどノルウェーの植民地があったが、きれいさっぱり消滅してしまった。樹木が育たないため鉄がつくれず、擦り切れて小さくなるまで使い古された刃物の遺物がせつない。釘も何回も使われている。ウシのひづめのあとも残されているが、草が少ないためヨーロッパのウシにくらべて極端に小さいウシだった。グリーンランド植民地の崩壊の前夜には土着のイヌイットとの競争に敗れて地方の村から首都へ避難民が流入、少なくなる食料を奪い合い小さなウシをひづめまで食べつくして終わり、という悲惨な結末が想像されている。生活に必須の資源が不足しはじめると周辺部から不足が顕著になり、まだ比較的保たれている都市部へ集中しはじめる。それが資源の消耗をさらに加速させ崩壊の過程を早める。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

医療の場合、医師が資源の一部であるが、医学部をでただけでは無理で実際の臨床の場で育っていく必要がある。医師をみずから育てるという意識のない地方はこれから厳しいかもしれない。中央に陳情すれば何とかなるという時代は過ぎてしまったのだ。