血管新生とメタボリックシンドローム

Lieb W, Zachariah J et al. Clinical and genetic correlates of circulating angiopoietin-2 and soluble Tie-2 in the community. Circulation: Cardiovascular Genetics 2010;doi:10.1161/CIRCGENETICS.109.914556
angiopoietin-2(Ang-2)は血管増殖因子、Tie-2はその受容体である。受容体は細胞表面にあって血中の刺激因子のシグナルを細胞の中に伝えるが、多くの受容体には細胞から離れて血中を流れているタイプのものがある。Tie-2にも可溶性のタイプがあり、ここではsTie-2と呼ぶ。血中のAng-2とsTie-2の量は一種の遺伝的に決められた体質ではないか?という研究がなされた。フラミンガム研究の第3世代3778名の血液でAng-2とsTie-2を測定し、肥満、血圧などメタボリックシンドロームの因子との関係を調べ、同時に先代、先々代からの遺伝的傾向が認められるか調べた。男性ではAng-2は年齢、喫煙、上の血圧、糖尿病と関係して高くなった。コレステロールと下の血圧が高いとAng-2は逆に低くなった。sTie-2はBMI(肥満度)、糖尿病、中性脂肪高価で高くなり、逆に年齢、アルコール摂取、腎機能(GFR)と相関して低くなった。メタボリックシンドロームの人ではAng-2,sTie-2ともに高くなり、Ang-2は血圧、sTie-2は肥満と脂質異常との関係が深かった。Ang-2、sTie-2ともに遺伝傾向を示した。sTie-2濃度は染色体9番の一部と関係した(LOD スコア8.3=偶然に関係しているように見える確率が1億分の2程度)。血管の再構築と血管新生は少なくとも一部は遺伝的に決定されておりメタボリックシンドロームと関係がある。