胆汁酸吸着剤の血糖低下作用

胆汁酸の吸着剤は古くからある高コレステロールの治療薬だが、最近胆汁酸吸着剤の血糖降下作用が注目され新しい薬が治験されている。Colesevelam(Col)は米国で第Ⅲ相の治験が行われた。1064名のメトフォルミン、スルフォニルウレア、インスリンのいずれかを使用している患者にColを用いてHbA1cは0.3-0.4%低下した。血糖は5mg/dl低下した。血糖に対する効果は胆汁酸の成分に反応する転写因子(遺伝子の発現をコントロールする因子)のFXRやLXRを介していると考えられるが、詳細はまだ不明である。FXRは肝臓の糖新生に重要な遺伝子をコントロールする。もうひとつの作用として胆汁酸はGタンパク共役受容体のTGR5を介してグルカゴン様ぺプチド-1(GLP-1)の分泌を増やす。GLP-1はインクレチン作用を持ち、食後のインスリン分泌を促進するので食後血糖を下げる効果が期待される。脂質に対する作用としてLDLコレステロールは低下するが、中性脂肪が上昇し、HDLコレステロールが低下した。(トータルとしてみた心血管疾患のリスク低減効果は非HDLコレステロールを下げるためプラスと評価されている)
Fonseca VA, Handelsman Y and Steals B Colesevelam lowers glucose and lipid levels in type 2 diabetes: the clinical evidence. Diabetes, Obesity and Metabolism 2010;12:384-392