Sさん

Sさんは戦前シアトルに移住して雑貨店を開いた。単身で渡米したので見合い写真を残して嫁さん候補を呼び寄せて結婚した。戦争まで店は順調に発展し、家族も増えていたが、開戦とともに一家は強制収用キャンプに移住させられた。戦後店を再開したが、彼は以前のようなくったくのない前向きさを失ってしまっていた。社会に対する信頼感を無くしたのかもしれない。キリスト教徒でない彼には「ヨブ記」の話など無縁である。後にレーガン大統領が謝罪してくれたときには彼は亡くなってだいぶたっていた。
というような話は世の中に多いだろうね。