あかちゃんの匂い

水木しげるは戦争中銃撃で左腕を落とされたが、フィリピンの村で療養しているとき左腕の傷跡が治っていくときに「あかちゃんのような匂いがした」といっている。健康に成長、増殖する細胞は健康な匂いを発するのかもしれない。たしかに保育園や幼稚園には独特な匂いがあり、決していやなにおいではない。一方加齢臭はノネナールなどの過酸化脂質系の匂いで不快感を伴う。昔の日本家屋のようなすきまだらけの家屋では気になりにくいが、マンションやホテル、電車のような閉鎖空間では気になる。以前老人施設で死期のせまった入所者を予見してちかくに付き添う猫というのが報道された(それも権威あるNew England Journalで)。彼(猫のこと)は崩壊していく細胞が発するなんらかの物質を検知していたのではないだろうか?「彼が殺していないとどうしてわかる?」というセンスのないつっこみもあったらしいが、猫に人を殺して得るものは何もないのだ。