「私を食べて」シグナル

死んだ細胞が不要の自己免疫のもとにならないためいち早く除去される必要がある。このため死にそうになると「私を見つけて」シグナルと「私を食べて」シグナルを発現して、細胞の残骸の除去を促進するメカニズムがある。これらのシグナルの一部はホスファチジルセリンである。
Miyanishiらは本物のホスファチジルセリン受容体(↓を参照)を同定した。T cell immunoglobulin and mucin-domain-containing molecule 4 (Tim-4)とTim-1である。これらはマクロファージと胸腺、脾臓、リンパ節、ヘントウの樹状細胞に発現している。Tim-1は虚血で障害を受けた腎臓にも発現するためkidney injury molecule1(Kim1)とも呼ばれる。また体液性免疫を担当するTh2ヘルパーT細胞にも発現する。Tim-1、Tim-4を発現させた繊維芽細胞はアポトーシスに陥った細胞を効率よく飲み込む。ホスファチジルセリンを認識しているらしい。これらの遺伝子の染色体上の位置はヒトでは5q33.2、マウスでは11B1.1にあって、アトピーや喘息に関係する部分なのだが、病態との関係はまだ明らかでない。
Nagata S, Hanayama R and Kawane K Autoimmunity and the clearance of dead cells Cell2010;140:619-630の一部