がんと炎症

インフラマゾームは細胞内でNALP3などから作られるタンパク複合体で非活性な形で細胞内にとどまっているインターロイキン1を切断・活性化して放出したり、不活性型のカスパーゼ-1を切断して活性化する役割がある。痛風では尿酸の結晶がインフラマゾームを活性化して炎症が惹起される。惹起因子がないのにインフラマゾームが勝手に活性化している例がメラノーマ(悪性黒色腫)で報告された。それによると中間的な悪性度のメラノーマではインフラマゾームの活性化は外部の刺激(IL-1受容体の刺激と共刺激因子のムラミルペプチダーゼ)を必要とするが、完全に悪性化したメラノーマでは必要ないという。これによりメラノーマは活性化型IL-1βを分泌しマクロファージを引き付け血管新生を促すという。IL-1βの阻害薬は痛風の治療薬などとして開発されており、メラノーマの治療に使えるかもしれない。
Okamoto M, Liu W et al. Constitutive activeinflammasome in human melanoma cells mediating autoinflamamtion via caspase-1 processing and secretion of interleukin-1β  J Biol Chem 2010;285:6477-6488