樹状細胞の動脈硬化開始時の役割

Randolph GJ, Potteaux S Vascular dendritic cells as gatekeepers of lipid accumulation with nascent atherosclerotic plaques. Circulation Res 2010;106:227-229
樹状細胞は獲得免疫の開始時に抗原を取り込んでT細胞に提示する役割を果たしている。免疫系が何を問題とするかを決める一員に樹状細胞がいる。CD11cは樹状細胞を見つけるマーカーであるが、血管にもCD11c陽性の細胞がいて、大動脈のカーブのところなど血流の乱れが生じやすいところに見つかる。ここはまた動脈硬化性のプラークができやすいところで、プラークのできやすさは樹状細胞の活性と関係するのでは?と疑われる。樹状細胞は血管内皮が活性化されたところで内皮の下に入り込みその突起を血管内腔まで伸ばしている。
Paulson KE, Zhu SN et al. Residnet intimal dendritic cells accumulate lipid and contribute to the initiation of atherosclerosis. Circulatoion Res 2010;106:383-390
LDL受容体を欠くマウス(LDL-/-)では高コレステロール食で動脈硬化を起こす。血管壁内で脂肪を溜め込んで泡沫状となった細胞は樹状細胞のマーカーであるCD11c、33D1と組織適合性抗原Ⅱを発現している。CD11cを発現する細胞に特異的にジフテリア毒素受容体を発現させておくと、ジフテリア毒素の注入により98%以上のCD11c陽性細胞が死滅し、3週間後までに75%が再生する。LDL-/-マウスに高脂肪食を開始するときにジフテリア毒素を5日投与しておくと動脈硬化病変が55%減少する。樹状細胞が動脈硬化の初期病変形成に関与していることを示唆する。