インフラマゾームとTxnipが糖尿病に関係(CareNetから転載)

「Nature Immunology(ネイチャー免疫学)」オンライン版で12月20日に報告された今回の研究は、NLRP3インフラマソーム(inflammasome)について探求したもの。NLRP3インフラマソーム は、さまざまな炎症性疾患に関わっており、同じ研究グループにより最近、この経路の阻害が痛風に伴う痛みを妨げることが示されている。痛風は関節に影響を及ぼす炎症性疾患であるが、炎症は糖尿病にも大きな役割をもつ。専門家によると、インフラソームは炎症を促進する蛋白複合体で、身体の本来の免疫反応で役割を果たしているという。

著者の1人であるスイス、ローザンヌ大学教授のJurg Tschopp氏は「インフラソームは身体の危険な状況を感知する。これには細菌やウイルスなどの病原体だけでなく、痛風での尿酸結晶や糖尿病での高血糖アルツハイマー病でのβ(ベータ)アミロイド斑など、内因性の“危険な状態”も含まれる」と述べている。これまでNLRP3インフラソームがどう活性化されるかは不明だったが、今回の知見により2型糖尿病の治療法開発への道が開けるかもしれないという。

一連の反応はTXNIPという蛋白で始まり、これが酸化ストレスにさらされるとNLRP3に結合し、免疫系分子であるインターロイキン-1β(IL-1b)の産生につながる。IL-1bは、高血糖への応答として膵島細胞によっても産生される。これら膵島細胞はインスリンの分泌にも携わっている。

膵島によるIL-1b の産生がNLRP3 とTXNIP の相互作用によって生じるかどうかをみるため、研究者らは正常マウスおよびNLRP3あるいはTXNIPが欠損したマウスの膵島細胞を高グルコースに曝露した。予想通り、これらの蛋白を欠損したマウスの膵島では、IL-1b の産生が低かった。さらに、これらの蛋白欠損マウスでは、インスリンに応答した血流中からのグルコースの除去が迅速だった。