calcium, vitamin D and obesity

Shahar DR et al. Dairy calcium intake, serum vitamin D, and successful weight loss. Am J Clin Nutr. 2010;92:1017-1022
Dietary Intervention Randomized Controlled Trial (DIRECT)という2年間の食事介入試験で食事のカルシウム摂取と血清ビタミンD濃度および体重減少の関係を調べた。対象は平均BMIが31、平均年齢52歳の322名。BMIで低い方から低、中、高に3分すると血清ビタミンDBMIの低い方から25.6±8、24.1±8.9、22.9±6.8ng/mlで有意にBMIの高い方でビタミンDが低い傾向を認めた。開始時のカルシウム摂取量とビタミンD値はその後6か月の体重減少の予想に役立たなかった。しかし6か月後の値は体重減少と有意に相関した。6か月後の乳製品カルシウム摂取量は低群の中央値156.5、中群358、高群582.9mg/日で2年間の体重減少はそれぞれ-3.3、-3.5、-5.3㎏だった。6か月後の血清ビタミンD値は低群の中央値が14.5、中群21.2、高群30.2ng/mlで2年間の体重減少はそれぞれ-3.1、-3.8、-5.6㎏だった。年齢、性別、最初のBMIなどで補正すると6か月で4.5㎏を超えて減量に成功するオッズ比は乳製品のカルシウム摂取が1SD(標準偏差)増加するにつれて1.45倍、ビタミンDが1SD増えるにつれて1.7倍だった。
開始時のカルシウム摂取量とビタミンDは影響していないので、乳製品のカルシウムとビタミンDがどうこうというより食事指導に従って実際に健康的な食事に気を使った程度の表れなのじゃないだろうか?しかし1SD増やすというのは偏差値でいうと10あげるようなものなので結構根性がいると思うよ。

coffee, tea and glioma

アメリカのコホート研究でコーヒーの摂取が脳腫瘍のグリオーマを減らすのではないかという結果が出た。欧州で食事と癌の研究を長く行っているEPIC研究の参加者のデータでコーヒーまたはお茶の飲用とグリオーマまたはメニンギオーマとの関係を調べた。8.5年でグリオーマが343名、メニンギオーマが245名あらたに診断された。コーヒーまたはお茶を100ml/日以上飲むひとは100ml未満の人と比べてグリオーマのリスクが有意に低かった(ハザードレシオ0.66倍 95%信頼限界 0.44-0.97)。男女に分けると男性でいくらか強い傾向があるが有意差はなくなった(たぶん人数が減るため)。
メニンギオーマには関係なかったようだ。
Michaud DS et al. Coffee and tea intake and risk of brain tumors in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition (EPIC) cohort study. Am J Clin Nutr 2010; 92: 1145-1150

MRIでマクロファージ描写・VEGF-Bが心臓のバイパス血管を増やす

Circulation Online - Clinical Summaries of the Current Issue
Circulationのタイトル紹介メールがたまってしかたない
26 October 2010; Vol. 122, No. 17
面白そうな論文のチェック
常磁性体のナノ粒子を注射するとマクロファージがこれを取り込んでMRIでT2シグナルが下がる。これを使ってウサギの動脈硬化モデルで血管のマクロファージを描出できた。コレステロールを下げる薬のスタチンは炎症を抑える効果も知られているが、スタチンを使うと血管のマクロファージのシグナルが減ることが実証できた。このテクニックで抗炎症作用を期待した抗動脈硬化療法の有効性が評価できそうだ、とか
血管内皮由来増殖因子(VEGF)は血管増殖と血管透過性を高める因子だ。加齢性網膜変性症ではVEGF阻害薬の効果が期待されている。似ているが異なる因子がVEGF-Bでこれは血管透過性を変えない。心臓に使うと心外膜の血管を発達させ心筋の中へ血管を侵入させるという。ホントならVEGF-Bを打っておけばバイパス手術をしなくてもバイパス血管が勝手に増えてくれるという期待ができるが、そんなにうまくいくかしら?