性はなぜ2つなのか?

http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/pls/research_2.htmlから

オックスフォード大学のハースト(L. Hurst) は「赤の女王」仮説で有名なハミルトン(W. Hamilton)とともに、「なぜ性は2つなのか?」という問は「なぜミトコンドリア葉緑体といったオルガネラの遺伝子は母性遺伝するのか?」という問と同じだと考えています。雄(♂)のオルガネラは、受精の前後で除去されて、次世代に伝わることはありません。オルガネラという観点からみると、性は「オルガネラを提供する性」と「オルガネラを放棄し提供しない性」の2つしかないことになります。
問題はなぜオルガネラを提供しない性があるかということです。鍵は利己的な遺伝子のコンフリクト(競合)にあると考えられています。オルガネラ遺伝子も利己的であるとすれば、両親由来のオルガネラ間で過激なコンフリクトが起こります。オルガネラDNAは1細胞当たりの数が多いので、遺伝子コンフリクトが激しくなると接合子の生存さえ脅かされかねません。