春の丘

いつの間にやら春になった
土手の草はらには黄色いはながいっぱい
森の梢には薄黄緑の芽吹きが萌えだす
時間のながれさえリズムを変えたみたいに

ここに君がいてくれたら
いや、君はそこにいるじゃないか?

影ではなくて?
かつてそこにいた君は進化して別の君になったのだね
もはや私を必要としないくらいに

モンシロチョウのたかったキャベツみたいに
穴のあいた葉っぱの間からさなぎを脱ぎ捨て
君は飛び立っていく

君のその羽根が
少々の雨には耐えられるような
鱗粉でおおわれていると信じよう