清沢冽(さんずいの冽が本当)

清沢洌―外交評論の運命 (中公新書)

清沢洌―外交評論の運命 (中公新書)

軍部を始め日本人の多くが満蒙は日本の生命線と考えていた時代に満州でまともに利益を上げている会社は満鉄だけで、それでもその利益は中国全体との貿易の7%にしかならない、と見抜いていた清沢。そこからすると「満蒙」うんぬんというのは軍部の中での出世競争のため業績を上げたい陸軍の虚構だったのでは?という疑問がわく。いやむしろ、組織の中の論理しか見えない官僚と化した軍人には満州こそがすべての舞台だったのかも。組織を離れて国全体の利益を見渡した時に本当にそれが重要なのか?結局おのれの出世競争のための手段にすぎないのじゃないのか?という冷めた目を持った人間はおよびじゃないのかなあ?元帥とか大将の脇に控えていて冷やかしを入れる道化師にしかなれないかもしれない。