用心怠るなかれ

臨床試験の不正を知らずに発表してしまったことを恥じて学長を辞任する先生がいる。研究のもとになった仮説自体はありうることだったので、本当の結果がネガティブだったのは残念だ。しかし、データの処理に不正があってポジティブに出ていた結果を発表してしまうのは「仕方がないこと」ともいえる。これを避けるためには性悪説に立って現場を監督していくしかない。それができなかったとすれば頂点に立つ人間に必要なある種の腹黒さ用心深さが足りなかったともいえる。政治家によくある「秘書が」じゃないけど、研究を監督する立場の人間を別につくっておいて、何かまずいことがあったら責任をおっかぶせて切ればいいだけである。