離れのとき

胸の中筋を開くように放てというのが弓道の教えだ。会の時にいっぱいに伸ばしたつもりでも弦があるのでよく見ると両腕と弦で細長い三角形を作っている。これが残心の時には両腕が一直線になっているわけだ。だからこぶしがわずかに背中側へ動く。これまでは意識しないと弓手が背中側に動くようにならなかった。これは一直線に狙う意識が強すぎて無意識に弓手を動かさないようにしていたのだろう。そうしなくても矢は自らの慣性で狙っていた方向へ飛んでいくはずで、だとすると弓が元の位置のままだと矢の進路の邪魔なのだ。アトラトルをつかってやりを飛ばしている意識になってみるといい。弓と弦がアトラトルの役割をして矢から離れながら矢の進行方向への推進力だけを与えるイメージだ。