宇宙戦艦ヤマト

ガミラスからの攻撃で焦土となった地球から放射能除去装置をもとめてイスカンダルへ旅立つヤマト。これは太平洋戦争で焦土となった日本が再び世界市場の主要プレーヤーとして表に出て行こうとするあらわれであった。そこで戦わなければならなかったものは「これは戦前の日本の軍国主義の再来ではないのか?」という自らの問いに決着を付けることだった。ヤマトが倒しに行くガミラスが同盟国だったドイツに似ているのはこのためだ。かつての日本の中にあったものをガミラス的なものとイスカンダル的なものの二つに分け、「悪」を代表するものだけを片づけに行こうというわけだ。ガミラスの海が酸性でヤマトが溶けそうになってしまうのは高度成長期の公害問題の反映かもしれない。ただ、そこで気になってしまうのは「悪」をそぎ落としたイスカンダルが美しくも死んだ星だということだ。