真実とは何か?

「日本人って真実ってものは人間とは超越して厳然と存在するって信じていないかい?」
「それって当たり前じゃないの?わざわざそういわれると”違うの?”って聞きたくなるけど。」
「”真実”っていうものも状況によって変わるっていうのが常識という世界もあるよ。」
「シカを見せられて”馬”って言わないと首を切られちゃうとか?」
「それもそうだけど科学的な営為ではそれまでは”妥当な説明”と思われていたものが新たな実験事実でひっくり返るのってざらだろ?」
「実験技術には限界があるからね。その時代の限界のなかでの妥当な説明を求めるしかないよね。」
「歴史についても解釈によって評価が変わるっていうのは結構あるでしょ?」
「江戸時代は抑圧的なだけの封建社会じゃなくて持続可能なエコ社会の実験例だとか?」
「でもさ、日本人はそんな考えになじまないんじゃないかな。どこかに絶対的な真実がないと納得できないんだよ。」
「そうかもね。中途半端な状態に耐えられないのかも。」
「日本人が敗戦で一夜で価値観がひっくり返るのを見たような経験を何度も繰り返してきた民族からすると”真実”は戦いで勝ち取るもので言ったもの勝ちというのが染みついているのじゃないかな?彼らにしてみればそれが当たり前で日本人の感覚が変かもしれないよ。」