TNF-α変換酵素の異常

N-ethyl-N-nitrosoureaでランダムに遺伝子変異を誘発したマウスのスクリーニングからwavedXというマウスが見つかった。皮膚に障害があり、デキストラン硫酸負荷によって重篤腸炎を生じた。デキストラン硫酸を飲ませないと腸は正常だった。これはタンパク分解酵素のADAM17の異常による。ヒトでもADAM17の変異による炎症性腸疾患が見つかり、皮膚の炎症を伴っていた。ADAM17は何を分解しているのか?(Brandl Inflammatory Bowel Disease and ADAM17 Deletion N Engl J Med 2012; 366:190January 12, 2012)ヒトではデキストラン硫酸に相当する誘発因子ははっきりしない。ほかに炎症性腸疾患の患者ではIL-10受容体の異常と膿疱性乾癬の患者でIL-36受容体の異常が見つかっている。
Inflammatory Skin and Bowel Disease Linked to ADAM17 Deletion Diana C. Blaydon, et al. N Engl J Med 2011; 365:1502-1508 ADAM17はTACEとも呼ばれ膜に結合しているTNF-αを切断して遊離させる酵素だ。この変異を持つ患者の白血球はLPS刺激でIL-1βとIl-6を正常の50-80%放出するがTNF-αの放出が20%以下に障害されている。