ELEONOR研究

インスリンの量を決めるのにいちいち入院していては忙しい人は治療ができない。外来でインスリンを開始すると適切な量を決めるのに時間がかかるためコントロールが遅れがちになる。電話で自己測定した血糖値を教えてもらってインスリンの量を指示する方法が有効かしらべた。開始時に経口薬をメトフォルミンに切り替え最大量まで増量する。その後持効型インスリンランタス)を追加してまず空腹時血糖を下げる。アルゴリズムは10単位から開始して空腹時血糖が70-100mg/dlなら変化なし、100-120なら1U、120-140なら2U、140-160なら4U、160-180なら5U、180を超えていたら6U追加する。反対に空腹時血糖が70を切ったら2単位減らす。これでHbA1cは7.7-7.8%になった。さらに食後血糖を抑えるため3食で一番食後が高くなるときのみ超即効型インスリンのグルリシン(アピドラ)を追加注射する。開始量は0.05U/kgで過去2回の食後2時間の血糖が140を超えていたら+2U、100以下なら-2U、100-140ならそのままとする。体重60㎏なら3Uからスタートすることになるからまず低血糖にならないだろう。さらに通常一番食後が高くなるのは夕食なので昼食時に人のいるところで注射をするという気苦労がない。大変シンプルなストラテジーだが、これで45%の人はHbA1cが7%以下になるという。膵臓の機能が落ちすぎて1型糖尿病とかわらないくらいまで落ちた人は残念ながら食前3回の注射がベターだろうが、大概の2型糖尿病の人はこれで十分だろうし、固定量プレミックスインスリンをうつより自由度が高い。自己血糖測定の結果を電話で相談した群と外来で相談した群では差がなかったという。いちいち入院しないで適切なインスリン量が決められるのならずっと楽である。
DIABETES TECHNOLOGY & THERAPEUTICS Volume 14, Number 2, 2012 DOI: 10.1089/dia.2011.0163
Telecare Provides Comparable Efficacy to Conventional Self-Monitored Blood Glucose in Patients with Type 2 Diabetes Titrating One Injection of Insulin Glulisine—the ELEONOR Study
Stefano Del Prato, M.D.,1 Antonio Nicolucci, M.D.,2 Augusto C. Lovagnini-Scher, M.D.,3
Salvatore Turco, M.D.,4 Sergio Leotta, M.D.,5 and Giacomo Vespasiani, M.D.,6
on behalf of the ELEONOR Study Group