血管増殖因子の影の双子

Overexpression of VEGF165b, an inhibitory splice variant of vascular endothelial growth factor, leads to insufficient angiogenesis in patients with systemic sclerosis. Circulation Research 2011; 109: e14-e26
強皮症(SSc)の患者では血中の血管増殖因子であるVEGF165(血管内皮増殖因子)が高くなることが知られていたが、血管増殖がむしろ抑制されていた。このなぞは血管増殖を抑制する別の因子であるVEGF165bが増えていることで説明できることがわかった。VEGF165bはVEGF165と同じ遺伝子からメッセンジャーRNA(mRNA)の転写の段階で異なる編集を受けることで生じる。これまでの測定法ではVEGF165とVEGF165bを区別できなかったのでわからなかったのだ。mRNAの編集を変えるタンパクはセリン/アルギニンタンパク55(SRp55)と呼ばれSScの患者では発現が高まっている。これには組織の繊維化を促進する作用のあるトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)の作用が関係している。