メリスロンは食欲抑制に効くか?

Ali AH et al. Acute effects of beta histine hydrochloride on food intake and appetite in obese women: a randomized, placebo-controlled trial Am J Clin Nutr 2010; 92: 1290-1297
脳にはヒスタミンH1受容体とH3受容体がありH1受容体はシナプスの後のほうのニューロンにあって刺激を受け取る。H3受容体はシナプスの前のほうのニューロンにあってヒスタミンの放出量の調節に関係する。マウスではH1受容体を発現しなくすると過食で肥満する。動物実験ではH3受容体の拮抗薬を脳内に投与するとおそらくヒスタミンの放出が増えるために食欲が抑制される。めまいの薬として古くから使用されているベータヒスチン(メリスロン)はH1受容体刺激薬で、かつH3受容体拮抗作用がある。ということはベータヒスチンを多量にのめば食欲が落ちるのではないか?という実験を行った。79名の高度肥満の女性を4群に分けてβヒスチンを0㎎、48㎎、96㎎、144mg飲んでもらい、24時間後にビュッフェ形式の食事をしてもらって食べた量と食欲をチェックした。食欲の評価はビジュアルスケールによった。結果は残念ながら効果なし。もっと効果的な薬がないと難しいようだ。
ためしてガッテンの30回咀嚼ノートはおそらく一種の行動療法としての効果がメインで、脳内ヒスタミンは患者に信じさせるための理由づけとして使われているような気がする。なぜなら患者で噛むことによる脳内ヒスタミンの増加を直接証明することができないから。