売れればいいのか?

http://synodos.livedoor.biz/archives/1764205.htmlから引用

ここまで、『週刊朝日』と『週刊毎日』、『週刊文春』と『週刊新潮』という対象読者層が同じであると考えられる週刊誌同士を対比させる形で紹介してきたが、もっとも対立構造がはっきりしていたのが『週刊現代』と『週刊ポスト』である。

自誌を、「煽らない本誌」と称する『週刊ポスト』は、4月15日号に、[問題追求レポート]として、[ただ徒らに「不安」と「差別」を煽る人々]と題したレポートを掲載している。そこには、同じ週刊誌媒体として、過度に不安を増長するような記事を掲載している『週刊現代』の記事を、『某誌』からの引用として批判的に取り上げている。
たとえば、[いったんメルトダウンすれば、次々と核分裂を起こして制御不能になる再臨界まで一直線だ]という個所を最初の批判個所として取り上げているが、これは『週刊現代』の4月9日号に掲載されていた文言だ。再臨界が起きる可能性がこの時点(発売日3月28日頃)でどうであったかは、本稿の最初の方で述べた通りである。

3月25日に東電から発表された核種分析結果で、放射性塩素Cl38が検出されたというデータがあり、再臨界を疑う要素がまったくなかったわけではないが、炉心溶融再臨界に直結するものではないことは多くの専門家のコメントからも明らかだった。なお、このCl38の検出は誤検出であったことが後に判明している。

週刊ポスト』の問題追求レポートでは、この『週刊現代』の記事に丁寧な解説を加え、煽り記事であると断定しているし、翌週4月22日号では、はっきりとライバル誌の誌名を出して批判をつづけている。このように『週刊ポスト』は、[少なくともジャーナリズムを標榜するのであれば、最低限の事実の確認、専門分野の理解がなければ、扇動者の誹りを免れない]という言葉通り、一貫して情報を冷静に分析した上で記事にしている。

世間の論調が一方に流れるとそれに掉さすような議論ばかりが出やすい。私たちはお調子者になりやすい体質を持っているのだ。「眉に唾をつける」のを忘れないようにしよう。