AT2が大動脈瘤破裂を予防する

Habashi J. Angiotensin II type 2 receptor signaling attenuates aortic aneurysm in mice through ERK antagonism. Science 2011;332: 361-365
アンジオテンシンIIは強力な昇圧物質である。受容体にはAT1とAT2の2種があり、降圧薬としてはAT1ブロッカー(ARB)が用いられている。AT2の作用が何か?ははっきりしなかったが大動脈瘤の破裂を抑える効果があるようだ。マルファン症候群は手足が長くなり僧房弁の異常や大動脈瘤ができやすくなる遺伝性疾患だ。マウスのマルファン症候群モデルにARBのロサルタン( ニューロタン)を投与すると動脈瘤の破裂が減る。ロサルタンはAT1をストップするのでAT2のシグナルが有意になる。これによりTGF-βを介したERKの活性化が抑えられるのだという。エナラプリル(レニベース)はアンジオテンシンをつくるACEを阻害する薬なのでAT1の作用とAT2の作用の両方を止める。エナラプリルではマウスの大動脈瘤を阻止できないので、血圧のみの問題ではなくAT2を介するシグナルが大事らしい。