統合失調症の薬のインスリン作用への影響

オランザピン(ジプレキサ)およびリスペリドン(リスパダール)は最近の向精神薬として使われている。問題の副作用として血糖値の悪化がある。インスリンの作用をこれらの薬が悪化させるかクランプ法で測定した。130名の統合失調症患者をランダムにオランザピンまたはリスペリドンに振り分けた。著明な肥満と糖尿病患者はあらかじめ除外した。開始前と12週後に正常血糖インスリンクランプ法でインスリンの効果(インスリン感受性)を測定した。インスリンの濃度は低濃度と高濃度の2種を用いた。オランザピンは5-20㎎、リスペリドンは2-6㎎である。(この投与量は日本人でも使用される量にあたる。)オランザピンで41名リスペリドンで33名が薬剤服用前後のクランプ研究を終了できた。低濃度のインスリン(約30-60μU/ml)ではオランザピンでは9%(P=0.226)、リスペリドンでは13.2%(P=0.047)インスリン感受性が低下した。高濃度のインスリン(約200-400μU/ml)ではオランザピンで10.4%(P=0.036)、リスペリドンでは2.1%(P=0.698)インスリン感受性が低下した。体重と体脂肪率の変化はオランザピンのほうが大きく、変化が大きいほどインスリン感受性の低下も大きかった。空腹時の血糖はオランザピン群でのみ有意に増加した。空腹時血糖の変化はインスリン感受性と相関しなかった。Hardy TA. Inpact of planzapine or risperidone treatment on insulin sensitivity in schizophrenia or schizoaffective disorder. Diabetes, Obesity and Metabolism 2011; doi:10.1111/j.1463-1326.2011.01398x