HES1は骨にも作用する

Zanotti S., Smerdel-Ramoya A and Canalis E. HES1 )Hairy and Enhancer of Split 1) is a determinant of bone mass. JBC 2011; 286: 2648-2657
HES1は転写因子で神経とか膵β細胞の発生の過程で隣り合う細胞の発生を抑制する因子と思っていたが骨にも影響するらしい。隣り合う細胞の間で片方が神経になると片方はグリアという風に役割分担をしないと組織が偏ってしまう。幹部候補生ばかりでは軍隊ができないのと同じだ。この仕組みをlateral specificationというが、骨でもHES1は骨芽細胞の分化をコントロールしているらしい。骨でHES1を過剰に作動させたり、逆に働かなくするとどうなるか?を検討した。この目的でコラーゲンタイプ1のα1プロモーターで作動するHES1のトランスジェニックマウスを作ったところ骨芽細胞の作用が低下して骨吸収が増加した。骨で特異的にHES1を働かなくするためにloxPでHES1を挟んだターゲットマウスを作りオステオカルシンのプロモーターで作動するCreマウスと掛け合わせた(Creが作動するとloxPで挟まれた領域が切り取られて消失する)。類似の遺伝子が残っていると機能がカバーされる可能性があるのでHes3、Hes5も欠損したマウスに骨でのみHes1を発現しないマウスを掛け合わせてみると大腿骨の長さが長くなり骨梁の数も増加した。