CETP阻害薬の冠動脈疾患患者での安全性が確認された

HDLは末梢組織から余分のコレステロールを引き抜いてエステル化して運ぶ。途中でCETPの作用でコレステロールエステルをLDLやIDLに受け渡す。CETPを止めるとおそらくHDLは余分のコレステロールをまっすぐ肝臓に運び、処理されるだろう。CETP阻害薬のanacetrapibの安全性が冠動脈疾患患者1623名で調査された。24週の時点で実薬群はLDLが81から45mg/dlに低下し(偽薬群は82から77mg/dl)HDLが41から101mg/dlに上昇した(偽薬群は40から46mg/dl)。76週までの時点でtorcetrapibでみられた血圧の上昇はなく、心疾患の増加を認めなかった。心血管イベントは実薬群で2.0%、偽薬群で2.6%で有意差なし。
現時点での治療と比較するとHDLの上昇が劇的で実用化されればかなりのインパクトがありそう。この研究は安全性を確認するためのものなので、これを踏まえてより長期・大規模の研究を行うと実際に冠動脈疾患死亡を減らせるかが明らかになる。
Cannon CP., Shah S. et al. Safety of anacetrapib in patients with or at high risk for coronary heart disease. New Eng J Med 2010;363:2406-2415