子供のころの野菜摂取と血管の硬さ

野菜や果物の摂取が少ないと抗酸化ビタミンの摂取がへる。また葉酸の摂取が少なくなることでホモシステインが増えて動脈硬化が進みやすくなる、と考えられる。実際に血管の固さを脈波伝導速度(PWV)で測定してみるとどうか?フィンランドで最長27年フォローされた1622名について調べた。1980年に3歳から18歳だった人を2007年に再評価した。子供のころの野菜の摂取は成人になってからのPWVと有意に逆相関した。PWVは血管が固いと早くなるので、野菜摂取量が多いと血管が柔らかいことを意味する。血清脂質、血圧、喫煙の影響を補正してもこの相関は有意であった。ところでフィンランドの良い子はどのくらい野菜・果物を食べるのか?1980年の調査では野菜と果物の摂取は1−6の6つのカテゴリーで解答を得た。1は毎日、2:ほぼ毎日、3:週に何回か、4:週に一回、5:月に何回か、6:もっとまれ、というもの。これを毎月の野菜果物消費量としてそれぞれ35,25,10,4,2,0で数値化して解析に用いた。けっこうおおざっぱであるが有意の相関が出ているのは毎日野菜を食べる子と全然食べない子ではやはり差があるということなのだろう。実際のPWVは800-900cm/sくらいなので完全に正常の範囲なのだが、若年成人の値なのでこの人たちが中高年になったところで病気の差としてあらわれてくるのだろう。
Aatola J., Koivistoien T. et al. Lifetime fruit andvegetabole comsumption and arterial pulse wave velocity in adulthood. Circulaton 2010; 122: 2521 CIRCULATIONAHA.110.969279v1