HDLをあげるCETP阻害薬anacetrapib

HDLは組織から不要のコレステロールを引き抜いてLCATの作用でコレステロールエステル(CE)にして内部にため込む。CETPはCEを転移させる酵素でHDLとLDLなどの間でCEのやり取りを仲介する。CETP遺伝子に変異のある人ではHDLの値が高いことが知られている。HDLが低いと動脈硬化が進みやすい。HDLを上げる薬がほしいところだがこれまでのところスタチンやベザフィブラートでいくぶん上がるものの決定的なものはなかった。有酸素運動をやるのが非薬物療法で効果的だがみんなができるわけではない。CETP阻害薬のanacetrapib(最近の薬はどうしてこう思いもつかないような名前なんでしょうか?)の有効性と安全性が試された。1623名をanacetrapib100㎎と偽薬に割り付け18か月服用してもらった。6か月後のHDL、LDL値と18か月後までの安全性が評価された。LDLは81㎎/dlから45mg/dlに低下HDLは41mg/dlから101mg/dlに増加。血圧と電解質、アルドステロン値には変化なし。心血管イベントは期間が短いので参考程度だがanacetrapibでは2%、偽薬では2.6%(有意差なし)。以前同様の薬torcetrapibで認められた副作用はなかった。
いったん挫折してしまうと断念しそうになるが構造をかえて再挑戦したのだな。開発者の執念を感じるな。
Cannon CP他 Safety of anacetrapib in patients with or at high risk for coronary heart disease. New Eng J Med 10.1056/NEJMoa1009744