噛む能力と栄養摂取

岩崎 正則ほか 口腔衛生会雑誌 60:128-138(2010)高齢者における咀嚼回数と食品群別摂取量および栄養素摂取量との関連
75歳高齢者349名にせんべいを用いた咀嚼回数能力の測定と食事時の咀嚼回数の記録およびBDHQ質問紙による食品別摂取量調査を行った。咀嚼回数は魚介類、乳類の摂取量と正相関し菓子の摂取と逆相関した。タンパク質、動物性蛋白質、カルシウム、リン、亜鉛ビタミンD、B2、B6、B12、パントテン酸コレステロールの摂取は咀嚼回数が多い方で多かった。また内野らの報告(心療内科 9:290-294(2005))によると咀嚼回数の多いもののほうが昼食後の血糖値が低く保たれる。咀嚼能力については山本式咀嚼能率判定法がある(補綴臨床 5:395-400(1972))。これはさまざまな食品15種が噛めるかどうかの回答による。せんべいを用いる咀嚼能力検査は亀田のさくさくサラダせんべい(直径4㎝)を半分に割って噛んでもらい、最初に飲み込めるまでの咀嚼回数である。
誤解のもとになるかもしれないので補足すると「咀嚼回数」は通常の食事でどれくらいよく噛んでいるか?の指標である。咀嚼能力測定のためのせんべいの咀嚼回数はある程度硬いものをかみ砕く能力なので回数が少ないほうが噛む能力が高い。