ADPKにシロリムスは効かない

常染色体優性多発性のう胞腎(ADPK)はmTORのシグナルが過剰になっている疾患だ。腎の中にのう胞ができて腎の実質を圧迫し、最終的に腎不全に陥る。mTORの阻害薬のシロリムスは冠動脈にいれるステントに塗られている薬だが、シロリムスがADPKの進行を阻止できるか検討された。18-40歳の100名のADPK患者にシロリムス2mgまたは通常のケア(といってもほとんどやることがないのだが)を行って18カ月観察した。残念ながらシロリムスは腎臓のサイズの増加も糸球体ろ過律も改善できなかった。Serra A.L., Poster D. et al. Silorimus and kidney growth in autosomal dominant polycystic kidney disease. New Eng J Med 2010; 363: 820-829
一方で糖尿病薬のロシグリタゾンに動物の多発のう胞腎モデルの生存期間を延ばすという報告がある。Dai B., Liu Y. et al. Rosiglitazone atenuates development of polycystic kidnay disease adn prolongs survival in Han:SPRD rats. Clin Sci(Lond) 2010; 119: 323-333