炎症のなだめ役

Benko S., Magalhaes J.G., Philpott D. J. and Girardin S.E. NLRC5 limits the activation of inflammatory pathways. J Immunol 2010; 185: 1681-1691
NLRCはNOD-like受容体(NLR)の一種である。ヒトには22種のNLRがあるが機能がよくわかっていないものも多い。NLRC5はINF-γとLPSの刺激で発現が増加する。HEK293細胞にNLRC5を発現させるとNF-κB、AP-1、およびタイプIのIFNに依存するシグナルが減少する。これはおそらく転写の抑制に作用している。つまりNLRC5は炎症を抑制するほうに効いている。炎症は生体の防御に必要だが行き過ぎるとショック状態になったりして生命にかかわる。NLRC5は行過ぎた反応にならないように調整する役らしい。NLRC5は核と細胞質の間を行き来することができ、核からの輸送には転送タンパク質のCrmAによっているようだ。マウスのマクロファージであるRAW264.7細胞でNLRC5をノックダウンするとINF-γとLPSに対する炎症性サイトカインの反応が増加してTNF-α、IL-6、IL-1βが増え、細胞表面のCD40の発現が増える。NLRC5はLPSによるIL-10の産性にも重要らしい。