炎症を抑えるmicroRNA

McCoy C.E., Sheedy F. J. et al. IL-10 inhibits miR-155 induction by TOLL-like receptors. J. Biol. Chem. 2010;285: 20492-20498
IL-10は抗炎症作用を持つサイトカインである。敗血症のとき細菌の出す毒素のLPSに自然免疫の受容体であるTLR4が反応して種々の炎症性サイトカインを出す。出過ぎるとショック状態になって命にかかわる。これが敗血症性ショックである。IL-10はTLR4による炎症性サイトカインの出すぎを抑えることができる。このメカニズムにmicroRNA(miRNA)が関係しているか調べたところ、miR-155の転写がIL-10によって抑えられることがわかった。miR-155はBIC遺伝子の中にあってタンパクには翻訳されない小さなRNAであるが、他の遺伝子のmRNAの翻訳を調節することができる。miR-155はSHIP1遺伝子の発現を減らすのでIL-10はmiR-155を介してSHIP1の発現上昇に貢献している。
つまりマイナスのマイナスはプラスということ。
IL-10--->↓ miR-155---->↑ SHIP1