イレッサの効果

Maemondo M., Inoue A. et al. Gefitinib or chemotherapy for non-small-cell lung cancer with mutated EGFR.
New Eng J Med 2010; 362:2380-2388
日本で転位のある非小細胞肺がん患者にゲフィチニブ(イレッサ)とカオボプラチンーパクリタキセルによる化学療法の効果を比較した。ゲフィチニブの効果はEGF受容体に異常のある例では高いことが知られているので、EGF受容体の変異のある例に限定して調べた。200例目までの中間解析で明らかにゲフィチニブがすぐれていたため予定の230名のエントリーを待たずに研究は終了された。死亡または癌の進行のハザードレシオはゲフィチニブ群が0.36(P<0.001)であった。癌の進行のない生存期間はゲフィチニブ群10.8カ月、化学療法群5.4カ月(P<0.001)。生存期間の中央値はゲフィチニブ群30.5カ月、化学療法群23.6カ月(P=0.31)。ゲフィチニブの副作用は皮疹71.1%と肝機能異常55.3%だった。
がん組織をとってそのEGF受容体遺伝子に有効性を示す変異があることが証明できればゲフィチニブはいい適応かもしれない。ただしゲフィチニブが効きにくい変異もすでに知られている。